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2008.02.10 (Sun)

憧れて…ベネズエラ・ギアナ高地の旅 (1)

 今度の旅の目的はベネズエラのギアナ高地の、エンゼルフォールズです。この滝に憧れて何年になるでしょう。

 この滝は乾期には水が滝壺まで届かないうちに霧になってしまうとか、ギアナ高地の奥でヘリで見るしか無いとか、いろいろの情報に、どうしても会いたくて、二〇〇七年九月四日成田からベネズエラに向かって旅立ちました。

 私たちツァー十五人は首都カラカスから翌日、ギアナ高地カナイマに向かいます。途中今日の天気最高、こんな日にエンジェルフォールズ遊覧飛行に行きたいねと話していました。ガイドのSさんもカナイマの飛行場に着くとすぐ話し合ったようで、予定変更、三日目の遊覧飛行をセスナの手配が出来たので今から行きましょうと、いったんロッジに入ったのですが、すぐに飛行場に引き返し遊覧飛行となりました。

 ここギアナ高地は変わった地形のため気流の流れが難しく遊覧飛行も天候に左右されますから、見ることが出来ない場合もありますと言われていました。  しかし私の目的はこの遊覧飛行なのです、 私はこの滝に会いたくて二十時間以上かけてここまで来たのです。 いよいよエンジュルの滝に会えます。

 私達五人は一番機に乗りました、席は真ん中に。いよいよフライト、標高千メートルのギアナ高地のジャングルが続きます。

 ペモン族の言葉でテプイと呼ばれるテーブルマウンテンが見えます、百以上あるテフイの中でエンジェルの滝は悪霊が住むという伝説のあるアウヤン・テプイにあります。この滝はジャングルから千メートル以上高いテプイの頂上から九百八十メートル下の谷に向かって落ちています、今は雨期、きっと水量もおおく全景を見られると、わくわくします。

 静かな自然の中、長い間、誰も近づくことを拒み、直射日光とスコールに変化した地形、いろいろな形のテプイに小さな滝もいくつか見えます。

 ここは今私達だけの世界です。私の眼下に赤い虹が見えました、大きなテプイの下に今まで見たことのない、くっきりとした赤い虹です。 エンジェルフォールズです、上は雲の中、パイロットが指さします、みんな構えたカメラのシャッターを切ります。

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 突然パイロットが窓をあけました。ものすごい音と風、よごれたガラスのないそのままの姿、上空の雲も切れ滝の全景が輝いています これがエンジェルフォールズです。

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 私たちの歓声に、パイロットが親指を立て振り向きます。わたしも同じポーズで答えます。彼は得意そうに,何度も何度も角度を変えて旋回してくれます。その時、後の席の奥さんが私の肩を叩くのです。ふと見ると窓からの強い風に私の横のドアが五センチほど開いています。私は内側のドアノブをつかみ自分の方に必死で引きよせました。この騒ぎにパイロットが振り向き今度は大丈夫、大丈夫と,手をひらひらと振り、窓を閉めました。

 さようならエンジェルの滝・・・・。   やっぱり来てよかった

 滝にはいろいろな姿があります。この滝の美しさは、しぶきを近くで感じさせない、周りの自然と一体化した美しさでしょうか。私達が飛行場に向きを変えたとき、後からのセスナが大きな自然のなかに、かわいらしいオモチャのように二機見えました。

 私の目的は、最初の一日で達成されたのです。 (写真:大石司郎 文:大石良子)

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2008.02.10 (Sun)

憧れて…ベネズエラ・ギアナ高地の旅 (2)

 滝に出会えた感激を胸にその日の午後、カッパの上に安全ジャケットを着けました。こんなに青空、こんなにおだやかな川を、ものものしい出で立ちで、トラックバスで船付き場に向かい、カヌーのようなボートで川下りに出掛けました。足の悪い私は最前列です。

 オリノコ川から支流のカラオ川に入り、ボートがスピードを上げると細長いボートはものすごい水しぶきです、さざ波の有るところは前からまともにかぶります。

 この川の水は周りの植物から出るタンニンのため、アメリカンコーヒーのような澄んだ褐色です。静かな流れの所にはこれも木々からでた樹脂が白く浮いています。二十一世紀の私にはまるで中性洗剤が浮いて汚染されているように見えますが、太古の昔から同じ流れだそうです。

 ユリの滝、近くを少し歩きました、ユリの滝の意味は「豊な」、なるほど、とうとうと、コーヒーゼリーが流れています、それは水ではなくゼリーような滑らかな滝です。

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 次はユリルの滝。この滝はタンニンの入らない雨水だけの大きな滝です、こんなに近いのに水の質によってぜんぜん違う二つの滝に自然の面白さを見ました。

 帰る途中もう一つの支流に寄りました、入り江を回ったとたん、なんと爽やかな風、周りのジャングルがくっきりと褐色の川面に映ります、まるでピカピカに磨いた鏡のよう、遠くデイプも、飛ぶ鳥も、夕空も映っています。

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 ここは不思議で素敵な空間でした。

 ガイドのマケリさんが流れてきた木の葉を拾い、何かささやいています。ヘモン族のお願の作法だそうです、私も母親としての願いを木の葉に託しました、後ろで誰かが「ロトシックスが当たりますように」と大声で木の葉にたのんで大笑い。

 私達が帰りかけた時、急に空が曇ったかと思う間もなく,ものすごいスコールです。スコールはいきなり来るとわかっていましたが、そのすごさ、ボートもスピードを上げます、もうびしょびしょで、どうにでもなれの心境、しかしトラックバスに乗る頃はうそのように晴れました。 (写真:大石司郎 文:大石良子)

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2008.02.10 (Sun)

憧れて…ベネズエラ・ギアナ高地の旅 (3)

 私の思いを実現したく申し込んだ今度の旅。旅行社からの持ち物に、必需品として、雨具は上下のカッパ、泳ぎに関係なく水着、濡れてもよく、歩きやすい履き物、虫除け、懐中電灯その他。私はセスナで、滝を見に行くのに、とんでもない旅に申し込んだ、と内心思いましたが、来てみたら全て必要でした。なかなか素敵なロッジは庭も広く珍しい植物も昼間は楽しませてくれますが、夜、食事に行くのも懐中電灯がなくては歩けません。

 翌朝、水着の上にカッパを着て、エンジュルの滝が見える展望台に向けて,五時トラクバスで出発。ボートに乗り換え、夜明けのカラオ川を上流に進みます。後に一人、前に一人巧みにボートを操っています。よく見ると前の人が指で流れを伝えているのです。

 急な流れの所は車で島を横切り、またボートにのり次の島にこの島で朝食、トイレはこの島だけ、後は青空トイレとのこと。十時頃やっとラトンシート島に到着、ここには私たちの昼食のための屋根だけの小屋が木陰にあります。これからの予定は、ライメの展望台に向けて一時間半のトレッキング、歩くのが苦手な夫と私はこの小屋で皆さんが帰るのを待つことにしました。

 マケリさんのアシスタント、アルキメデスさんが(何処かで聞いた凄い名前)一緒に残ってくれました。彼は早速ハンモックを支度し、手真似でここで休むように話します。濡れたカッパを干し、誰もいない屋根だけの小屋の中、水着になって、はじめてのハンモックに真ん中から「えい」と腰を入れてみました。

 あれっ、そこは思ったより広い空間です、寝心地も悪くない、この揺れるのが収まったらいいのに。背中を通る風も気持ちよくクルリと包まれた安心感、すっかり気に入りました。そして、これからは自分の体力に合わせてスケジュールをスキップする勇気、この炎天下を私の足で参加して遅れ、皆さんに迷惑かけるより、こうして待つ、こうした旅もいいかな、そうしよう、と思いました。なにもかも欲張って消化するのはもう卒業しよう、目的の滝は充分楽しんだのだから、あとはおまけの旅。

 このおまけも、なかなかよしと、初めてのハンモックを楽しんで居るときのことです。どこかで薪割りの音がします、懐かしいような音、わからない言葉で人声もします。もし私達が捕らわれの身なら、この音はさぞ不気味な音、自分を焼くためか、見えないが大鍋にお湯を沸かしているのか、はたまた家来達が大ご馳走を作っているのか、いろいろ想像を楽しんでいると、なんといい匂い。どれどれ起きよう、夫に声をかけ、起きるのも簡単、足を外に出すだけ、この音、この匂いの元は、小屋の前のたき火で、沢山のチキンを串に刺して遠火で焼いていました。 

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 私達の起きたのに気付き、アルキメデスさんが近くの河原で今日はエンジェルの滝が見えますよと、案内してくれました。小屋から少し歩いたきれいな河原から、また会えましたエンジェルフォールズ。今日はご機嫌よく頂上まではっきりとみえます。たしかに、これだけ高いと、水は滝壺まで届かないと言われていますが、今は雨期、霧の奥に、ありあまる水が落ちています。

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 アルキメデスさんが川に入り、さかんに水浴びを誘ってくれるのですが、二人とも泳ぎは苦手なので、まわりの変わった石を拾い楽しみました。彼の褐色の体はコーヒー色の水の中を気持ちよさそうに泳いでいます。
 
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 小屋に帰り、ランチのお手伝いをと思い、申し入れをしました。みんなが来てから切るだけと、美味しそうなに焼けたチキンに、味つけはシンプル、シンプルと、塩と香辛料のパウダーを見せて、トマト、タマネギ、キュウリのサラダもこれとビネガーだけ、と言ってます、やっと帰った皆さんと食べた、ランチのなんと美味しいこと、私はこの塩味がすっかり気に入りました。 (写真:大石司郎 文:大石良子)

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2008.02.10 (Sun)

憧れて…ベネズエラ・ギアナ高地の旅 (4)

 午後、サボの滝に向けてボートで川下りします、またスコールにあいましたが滝に着く頃はうそのように晴れました。サボとは滝の音が蛙の鳴き声に似ているのでこの名前になったそうで、この滝は裏側を歩くことが出来ることで有名です。

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 ボートに残ると言う夫を残し私は滝まで行きましたが、裏側を歩くのは滑りそうで危ないと思いここでも無理をせず、ここで待つことにしました。しかし残るなら、ボートに帰ろうと最後の人にガイドさんにボートに居ると伝言を頼み引き返しました。

 ここに柳蘭があった、たしかこの水たまりを越えたと一人心細く、とにかく川から離れないように歩きました。林を曲がってボートが見えた時の安心感、それも今ボートは移動するためにエンジンをかけているのです、ここで止まっていると思っていましたから、なんといいタイミング。

 残っていた夫の話では、トラックバスのある島で皆さんを待つらしいとのこと。夕ぐれが迫ります、往復三十分としても、もう帰る頃なのに、遅い、私を捜しているのか心配です。この島には小さな小屋があり人が住んでいるようで子供もみえますが言葉がぜんぜんわかりません、彼らはいつもこうなのか、私達に時々笑顔を向け、けっして心配しているようにはみえません。私達はトラックバスで待つしかないのです。

 もうすっかり暗くなった時、古いトランシーバーを持った人がきて「テン・ミニッツ」、十分まっても見えません、また来て「テン・ミニッツ」もういいです、待つしかないのです。やっとボートの音が聞こえました。そして、へとへとに疲れた一艘の皆さんが帰りました、私が戻ったのはわかったのですが、一人帰り道で迷子になってしまい、船着き場でその人を待ったり、ガイドさん達は探しにいったり大変だったようです。また次のボートが来ません、十五分程して来たこちらのボートは、エンジントラブルで遅れたのです。そして真っ暗の川岸からやっと出発出来ました。

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 今度のツアーの方々は山歩きや僻地に慣れた方が多く、こんなこともあるさと、みんな揃って、遅い夕食にロッジに向かいました。

 翌朝、ベネゼーラ最後の観光に小雨の中ロッジの前に広がる(アチャの滝)や(ウカイマの滝)などの迫るラグーンクルーズに出発しました。毎日見慣れたこの景色も,間近に見る滝は高さがあまりないので、まるでカフォオレの洪水みたいです。この不思議な色をした川やギアナ高地ともさよならです。

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 田舎の小学校の校庭のようなゲートもない空港に着く頃は青空になりました。(写真:大石司郎 文:大石良子)

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